詩集『暗号という』(思潮社)

辺見庸氏のブログ2020/5/12で、拙著をご紹介いただきました。ありがとうございます。

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連夢

                     中島悦子

 

 漆黒の闇にも扉があり

いくつ開けても墓と厠ばかり

 

ああ またか

ああまたか ああまたか ああまたか

土ばかりのへこんだところに

まばらに待ちわびて座っている墓石

 

扉はもう朽ちている

人のように

人の姿をして

 

闇は

同じくぼみの連なりの中で

いつもぬくめられて

 

(いかにも尋ねいだして失ふべし)

 

隣の入り口から入ってください

とぅろ おせよ

 

壁は無く

通りから丸見えの

公衆の厠の

ようです