『硫黄島上陸 友軍ハ地下ニ在リ』酒井聡平著 (講談社2023)

 現職新聞記者(北海道新聞)として勤務しながら、硫黄島の遺骨収集団に参加し、その実態を本書に結実した。まさに結実といっていい。ライフワークとして取り組みはじめた動機から、東京勤務中の奮闘。その活動を通して繋がる、硫黄島戦死者の家族、硫黄島生還者、硫黄島在住者の思いによりそう取材の数々は、心打たれるものばかり。戦後から現在までの硫黄島の利用の実態も大きなメディアでは知らされていないことが多い。また、遺骨収集の問題や課題についても、担当国会議員にインタビューするなど、説得力ある展開となっている。生き生きとした行動力溢れる文章も感動的。応援し続けたいと思った。