中島悦子・詩「仮装」(「木立ち」130号)

 詩誌「木立ち」は、今年で創刊50周年を迎え、130号となりました。郷里福井の詩人とともに、これからもこの詩誌を大切にしていきたいと思います。半世紀ともなれば、詩の活動も、人と人とを繋いでいきます。確かな批評の存在するつながりが、実のある地域の文化を作っていくのです。


仮装



黒い石が降り終わった
ここにも
あそこにも
煙を出して煮えたぎって


仮装をしたおびただしい人々が通り
祭りにもかかわらず
形相は厳しく
口々に呪いながら
川のように流れていった


黒い石に当たれば
死んだであろう道を
細い傘をさして
行こうとした
私も
眠れぬ母を置いて