新詩集紹介

川上明日夫『紙魚る家』(山吹文庫)

 この世のあわれに一献 魂は 冷(ひや)がいい

 

杉本真維子『皆神山』(思潮社) 完成度の高さ、言葉の温度、時間軸の自在さ、全てに心奪われる!

 しじみ、と思ったら、

 自分の目が映っていた、

 具のないみそしるを一口のんで、

 両目を啜る、あじは、おれの刑期にふさわしく、

 ざりり、と音までしやがった

 

大木潤子『遠い庭』(思潮社) 静けさの更なる先の、先の方へ‥‥

 暗い径(みち)で、鳥たちが

 私の知らない歌を

 鳴き交わしている

 

岩佐なを『たんぽぽ』(思潮社) じんせいのおわりがこわくありませんように

 ひととき

 おだやかな景色をおおう

 かぐわしい空気をあびて

 さ、

 ご一緒したしましょう。次頁へ