会田誠展「天才でごめんなさい」

会田誠氏の大規模な展覧会で、一気に堪能した。「天才でごめんなさい」「いいんですよ、天才で。かまいませんよ」と会話したくなる。あらゆる技術をもって、自分の表現したいことが自由になるという力量を見せられて、なおさら「天才でいいですね」とつぶやきたくなった。おにぎり仮面とは、真のユルキャラで笑わせる。全国のこざかしいユルキャラに見習ってもらいたい。「今年もヴィトンが豊作じゃー」では、となりにいたご婦人に思わず話しかけたが、無視された。東京では、見知らぬ人は、見知らぬ人で背景なのであろう。しかたがない。ゴキブリもよかったし。ひとつひとつがばらばらなのに力強い。表面は、力強い。表面しかあらわせないポスターも力強い。サラリーマンの山も、ニューヨーク上空のゼロ戦も、段ボールのお城も。空疎は、力なのか。少女エロのイメージを超える展覧会だった。