なみだ
中島 悦子
なみだは がらすのびんにいれるといい
とうめいととうめいは にあってる
かなしみもつりあっている
びんのかたちのままで
なみだは しずかにひかっていられる
びんのおうこくのなかで
なみだは
はてのないこころをとかして
これからも
とうめいに
ながれつづける
ちぶさのうすいももいろ
ちのいってき
かぜのおと
みずくさのゆらめき
どれもつめたい
すきとおったなかで
なみだをすかして
みるむこうのけしき
なみだをためて
みるこちらのけしき
みえないこころを
かぞえ
ならべ
がらすのおうこくがつづく
なみだのかたちで
こわれそうになりながら
がらすのおうこくがつづく
えいえんともつかのまともいえない
なみだが
「木立ち」112号
ジャンミシェル・オトニエル「ラグリマ」によせて