現代詩

「木立ち」131号 発行

福井の詩誌「木立ち」131号 発行しました。中島悦子は「緑凪」を書かせていただきました。詩誌ご希望の方は、本ブログコメント欄までご連絡お願いいたします。 12/8の午後には、ダウンビートのイベントを新宿で行います。詳細は後日お知らせさせていただきま…

中島悦子・詩「分捕」(詩誌「びーぐる」28号)Nakashima Etsuko

詩誌「びーぐる」28号に詩を書かせていただきました。「分捕」は、首を捕るという意味です。「平家物語」を古文で読み直して、あらためて言葉の力にはまってしまいました。戦乱とは何か、と思います。又吉直樹氏の『火花』は、芸人の物語なのに、私は詩人…

『藁の服』が第48回小熊秀雄賞をいただきました

北海道旭川文化団体協議会、小熊秀雄賞市民実行委員会主催の小熊秀雄賞をいただきました。 ありがとうございます。これからも努力して参ります。詳しい選考経過は、あさひかわ新聞5/12 授賞式の記事は同新聞5/19 に掲載されています。 http://www.og…

詩「焦点」(朝日新聞 夕刊 2015/2/24)

朝日新聞 夕刊 関東版「あるきだす言葉たち」に「焦点」を書かせていただきました。マネキンって、何かどきりとさせられます。

中島悦子・「来世をめぐる神話」(「星座」2013/7/1 通巻第66号 かまくら春秋社)

「星座」(2013/7 第66号 かまくら春秋社)に詩「来世をめぐる神話」を書かせていただきました。戦後の遺骨収集がまだ終わっていないこと、来世は何に生まれるのかということをモチーフに短い作品を書きました。

中島悦子「声をめぐる神話」   Etsuko Nakashima

声をめぐる神話 中島 悦子「悪い子はいないかー」。「泣く子はいないかー」。鬼の声が響く。市民全員、低温火傷を負っている。みんな泣きたいが我慢をし、静まりかえり下を向く。暴動を起こす気力はない。なぜかそのままの姿勢で鬼にあやまる。これ以上、に…

中島悦子「逃/亡」   Etsuko Nakashima

逃/亡 中島 悦子 鉄道自殺は、晴れの日に多いという新聞記事に一瞬ぎょっとするが、それは普通のことだろう。たぶん、私はハレとケの語感を思い出して、身が震えたのだった。遠足も旅立ちも晴れたほうがいいのだから。そんな勘違いばかり。今日も近所の猫は…

中島悦子「いつもの駅前」     Etsuko Nakashima

いつもの駅前 中島 悦子駅前で、地元を強調している衆議院議員が演説をしている。彼は、単なる顔見せで、挨拶の連呼である。朝は確かに衆議院議員にとってはめでたいのだろう。浮浪者が衆議院議員と十メートルくらい離れたところでほんの小さな声を出してい…

『群像』(八月号) 特集「個人的な詩集」

『群像』(八月号) 特集「個人的な詩集」で町田康氏に「崩落の詩」というテーマで拙著『マッチ売りの偽書』より「終」を選んでいただきました。 「自分なんか滅ぼしてしまって不器用にやらんとあかぬのとちゃいまっけ? ちゃいまっけ?」ということで、「そ…

中島悦子「なみだ」  Etsuko  Nakashima

なみだ 中島 悦子 なみだは がらすのびんにいれるといい とうめいととうめいは にあってるかなしみもつりあっている びんのかたちのままで なみだは しずかにひかっていられる びんのおうこくのなかで なみだは はてのないこころをとかして これからも とう…

中島悦子「曲水」    Etsuko Nakashima

ウェブ詩誌『四囲』Vol6に「曲水」を書かせていただきました。通勤バスの中でいろいろな情景に出会います。 同人の作品も併せてお読みください。 廿楽順治氏は、今年のH氏賞を受賞されました。おめでとうございます。 http://tsuzura.com/she/pdf/she6.…

中島悦子 「反旅」         Etsuko Nakashima

反旅 中島 悦子目的もなく、ソウルに六泊。着いた日は大雨で道路は川になっていた。ソウルも雨にもろい。それは、どことなくうれしい。ずぶぬれの人々と私。日本でもなじみのコンビニがある。売っているものが微妙に違う。バナナミルクとかが甘い。あずき牛…

中島悦子「わたしの天国」   Etuko Nakashima

ウェブ詩誌「四囲」vol5に「わたしの天国」を書かせていただきました。 私にとっては、少し長めの実験的な作品です。 同人の作品もお読みいただければ幸いです。http://tsuzura.com/she/pdf/she5.pdf

中島悦子「水玉とスコール」 Etsuko Nakashima

水玉とスコール 中 島 悦 子埃っぽく、暑い街には、スコールが似合う。毎日、毎日、私達を洗ってください。私達の街を洗ってください。若い女の足の爪には、オレンジの水玉はじけてる。ぼくのおとうさんは、がいこくでけんじゅううったことあるんだよ。それ…

中島悦子「屋根の未来」   Etsuko Nakashima 

ウェブ詩誌「四囲」No4に詩「屋根の未来」を書かせていただきました。 スクロールしながらごらんください。 http://tsuzura.com/konoyo/she4.pdf

中島悦子「私を見なくていいから」 Etsuko Nakashima

私を見なくていいから 中島 悦子男を脇にかかえて走っていた。男は長身なのに、なぜかかえられたのか。たぶん、体重が二キロくらいだったのだろう。それでいい。男は、素直にかかえられていて声もださなかったし。私というもののカウントダウンがはじまって…

中島悦子「銅の奇術」

web詩誌「ぽえーむTAMA15」に「銅の奇術」を書かせていただきました。2ページにわたっていますので、次もクリックしてください。 宴会の余興・座興の手品でも習いたいなと思って書き始めたのに、とんでもないところにいってしまいました。いつもの…

中島悦子「濃度」          Nakashima  Etsuko

濃度 中島 悦子黄河大橋というだけで、物語はとてつもなく動くように思われた。なにしろ、黄河はなんといっても黄河だから。タクシーでそのそばを走り続けるというくだりでもう「合格」と言ってあげたくなる。だから、続きは読まなくていいほどだ。「合格」…

中島悦子・「白菊の移る時」

白菊の移る時 中島 悦子「紫式部は、肌、つるつるだね」 「清少納言と区別がつかない同じ顔」双子の姉妹は、そういいながら歴史人物トランプの絵を熱心に見ていた。「ペリーって、外人」 「はげって、言っちゃいけないんだ、杉田玄白に」十分前に投げたボー…

中島悦子「ライン」

ライン 中島 悦子先生ったら、つまんない単語でも線を引けって言うんだよね。おかしくない?つまんない単語は、けっこう押し寄せてきてる。床下、くらいは。これがぬるい。温泉プール。温泉かプールか、どっちなの! って怒りたくなる(笑)。ぬるい単語も、…

中島悦子「すすき」

「ポエームTAMA 11」に詩作品「すすき」を書かせていただきました。 あっさりした短い詩です。作家姜信子さんの済州島の旅の話をうかがった印象を書き留めました。「ポエームTAMA 11」http://www1.hinocatv.ne.jp/planet/sp11nakajimapage1.htm …

中島悦子「遠回しの夏」

遠回しの夏 中島 悦子六分の一しか開かない学校の校舎の窓から、すり抜けるように子どもが転落するのは何故か、考えてもわからない。軟体動物のような子どもの骨格では、窓は十分の一開ければいいのではないか。子どもがもっと柔らかくなるのであれば、十八…

中島悦子・シンポジウムのお知らせ・2010/10/9   日本詩人クラブ

日本詩人クラブ主催のシンポジウム「現代を超えて、<詩>の未来を」にパネリストとして、参加します。日時 2010年10月9日(土)14:00〜16:30場所 東京大学駒場キャンパス ファカルティハウスセミナールーム (京王井の頭線 駒場東大前下車…

中島悦子「カメレオンの粉」

カメレオンの粉 中島 悦子砂漠に生きる空白のカメレオンを干物にする カメレオンはまじないの粉になる。秘かに飲ませるのに成功すれば、カメレオンの寿命と同じになるという。カメレオンの粉は、毒ではない。あくまでまじないの力によると、スークの呪術師に…

中島悦子・「純粋漆」

純粋漆 中島 悦子木食修行の最後に漆を飲んでミイラになるという。漆はどれだけの人間を土中入定させたか分からない。掘り出されたミイラは一握り。なりそこねたミイラもあわせれば、何千というミイラが今も埋まっているということだ。漆掻き職人は言う。「…

中島悦子・「泥酔と色」

泥酔と色 「せっかくですから」と言って、入った寺で濃茶をいただく。 あ、これ、入場料に含まれているわけですね。 あああ、そうですか。そうですか。 (入場券は財布にしまう。) 寺ってのは、いろいろな罪をかぶってくれるんですって。コインロッカーの中に…

中島悦子・「防人、入れ子の夢」

防人、入れ子の夢 中 島 悦 子あの人が防人に行くという。止めるすべはない。私は、丈夫な子を産むために、病を治して、大きな腹切りなどして待っていますから。あの人の声が好きだった。何万年もあの人の声を聞いていたかった。防人に行くと三年は、帰って…

中島悦子・「半夜」

半夜 中 島 悦 子 旅先では、どんな厠でも入ると決意しながら、そうできなかった時があった。厠は、試練の場。世を捨てると決めたことが、嘘でしかなかったことになる。世は捨てた方がいいに決まっているのに。諦念とかもあるに越したことはない。女が厠のこ…

中島悦子 H氏賞関係の資料一覧

昨年は、受賞にあたり、いろいろお世話になりありがとうございました。さらに新しい文学シーンを夢見て努力していきたいと思います。これからもよろしくお願い申し上げます。・福井新聞 2009/3/15 H氏賞受賞発表 一面記事 コメント 荒川洋治 ・日刊…

中島悦子 現代詩ゼミナール 2010.1.16

早稲田奉仕園で、日本現代詩人会主催の「現代詩ゼミナール(東日本)」が開催されました。柴田三吉さん「世間と詩」のご講演のあと、六人の詩人の詩の朗読がありました。私は、「撥鏤の赤」(「木立ち」2009.5)、「泥酔と色」(「SOMETHING9」200…