定道明「ささ鰈」(編集工房ノア)書評

書評「人生の満ち引き― 定道明氏『ささ鰈』」を「イリプスⅡnd 32」に書かせていただきました。お読みいただければ幸いです。珠玉の小説集です。

中島悦子・書評 リービ英雄『模範郷』(集英社)

共同通信配信で、リービ英雄『模範郷』の書評を書かせていただきました。尊敬する作家リービ英雄氏。『模範郷』は、優れた紀行文学であり、私小説です。滑り出しの一行目から心奪われます。光栄でした。南日本新聞、岩手日報、山梨日日新聞、熊本日日新聞、…

中島悦子・書評  辻原登『Yの木』 (文藝春秋) 共同通信配信

共同通信配信で、辻原登『Yの木』の書評を書かせていただきました。新潟日報、福井新聞、高知新聞、佐賀新聞、山陽新聞、千葉新聞、徳島新聞、東奥日報、山梨日日新聞、下野新聞、北国新聞、神奈川新聞、埼玉新聞、福島新聞、長崎新聞、宮崎日日新聞、愛媛…

岡崎武志『蔵書の苦しみ』(光文新書)

岡崎武志さんの古本をめぐる本のずっとファン。というか、岡崎さんが上京し、デビューする前から知っている。12月1日の両国のイベントも楽しかった。岡崎さんは、多才でイラストもうまい。久しぶりに会って、「著書はたぶん全部読んでるよ。偽名以外は。…

広部英一全詩集刊行(思潮社)

北陸戦後詩を切り開いた抒情詩人、広部英一の全詩集が刊行されました。母の死で詩的開眼を果たし、死者と生者が交感する魂の詩世界を構築した詩人の全貌です。 「現代詩手帖」十月号に特集が組まれ、私も「新しき「畝間」へむけて」という小論を書いています…

姜信子、ザーラ・イマーエワ『旅する対話』(春風社)

テーマは、「ディアスポラ・戦争・再生」。二人の作家が、朝鮮民族とチェチェン人が追放された悲劇の荒野を旅する中で編まれた対話集。DVD付き。 ディアスポラ(故郷喪失者)とは、誰か。二人が九年前に取材して丹念に集めたその生の事実・言葉は、今の福島…

J.R.ヒメネス 『プラテーロとわたし』

遅ればせながら、『プラテーロとわたし』(理論社2011/7 訳伊藤武好 伊藤百合子)を読んだ。 人生の哀しみ、喜びをロバへの語りを通して詩情豊かに歌い上げる。まさに「詩情」あふれるとは、この詩のことをいうのではないかと思える。深く、美しい。

姜信子『はじまれ 犀の角問わず語り』

姜信子『はじまれ 犀の角問わず語り』(発行:サウダージブックス、発売:港の人)が刊行されました。姜さんの文体は、私に、歌を心を届けてくれます。 空白。見えない、さわれない、語れない、でも確かにそこに在る、空白。 声。どうしようもなく零れ落ちる…

ジョン・ソルト『北園克衛の詩と詩学〜意味のタペストリーを細断する〜』(思潮社)

私にとっては、なぞが多く、解釈の難しい詩人。読むのに時間がかかってしまったが、すばらしい研究書だった。

辺見庸「眼の海―わたしの死者たちに」(「文学界」6月号)

辺見庸「眼の海―わたしの死者たちに」(「文学界」6月号)の三十編あまりの詩が圧巻。 石巻を故郷にもつ作者が溢れ出る慟哭と鎮魂の思いを詩の言葉に託す。砂いっぱいの死者にどうかことばをあてがえ 水いっぱいの死者はどうか眠りにおちるな 石いっぱいの…